第22章

桜井有菜が出て行った後、桜井美月は少し焦った様子で桜井浩明を見つめた。

「お父さん、おじいちゃん本気じゃないよね?本当に株を有菜に渡したら、兄さんはどうなるの?」そして何より、自分はどうなるのだろう?

美月の交友圏では、名家の娘が嫁ぐ際に象徴的に株を少し譲る程度で、多くても5%を超えることはない。それなのに、おじいさんは自分の持ち株全てを有菜に渡すというのだ。美月は嫉妬で頭がおかしくなりそうだった。

桜井浩明も理解できなかった。おじいさんの真の意図は何なのか。この件については長男と相談する必要があった。

「お前はそのことを気にするな。勉強だけに集中して、いい大学に入るんだ!」

名門...

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