第48章

藤宮弘也が帰った後、お爺さんは息子の嫁はいったいどこにいるのだろうかと考え込んでいた。

藤宮美子は本家を出るとすぐに、藤宮弘也を脇へ引っ張った。

「本当に桜井有菜ちゃんを家に連れて帰るつもり?」

藤宮弘也は姉を見上げた。

「なぜダメなんだ?」

「弘也、あなたいくつなの?有菜ちゃんのおじさんくらいの年よ!」

「姉さん!」

この言葉を藤宮弘也が気に入るはずもなかった。確かに間違ってはいないが、まるで彼が少女を騙したかのように聞こえる。

実を言えば、藤宮美子はまさにそう思っていた。しかも考えれば考えるほど腹が立ち、弟が桜井有菜を台無しにしたように感じていた。

「私は本気だ。有菜ち...

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