第52章

桜井有菜は頷き、目に笑みを浮かべていた。それを見て藤宮弘也はほっと胸をなでおろした。今日は本当に彼女を心配していたのだ。彼女が何か無謀なことを考えるのではないかと恐れていたが、幸い桜井有菜の自己調整能力は悪くなかった。

皆が食事を楽しんでいる最中、二人の招かれざる客が現れた。

「いい匂いに誘われてきたんだけど、私たち二人も食事に混ぜてもらえないかしら?」

土倉彩華と土倉健太の出現は確かに予想外だった。北村涼はそれほど気にした様子もなく、土倉家はここから遠くないので、たまたま通りかかったのだろうと思い、二人を食事に誘った。

藤宮美子は複雑な眼差しで土倉彩華を見つめ、それから何も気づいて...

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