第56章

桜井浩明は一気に言葉を吐き出し、桜井有菜をまるで株式を盗んだ泥棒のように貶めた。

桜井有菜は怒ることなく、むしろ彼をじっと見つめながらゆっくりと言った。「たとえ桜井グループを継ぐ資格が私になかったとしても、あなたの手に渡ることはありませんよ。この三年間、桜井グループはすでにあなたに空っぽにされてしまったのですから。資産の現金化、資金は全て海外へ送金。

桜井グループの資産を海外へ移そうとしか考えていない人間が、どうして桜井グループを継ぐ資格があるでしょうか?そうですよね、桜井副会長」

桜井有菜の言葉が落ちると、桜井浩明の顔色が変わった。彼も理解した。桜井有菜は準備をしてきたのだ。だがそれ...

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