第59章

薬を飲むのはまだ我慢できたが、針を刺すことに関して藤宮弘也は本当に抵抗があった。

「そこまでしなくても大丈夫じゃない?」

桜井有菜は銀の針を消毒しながら、藤宮弘也の表情を見ようともしなかった。

「大丈夫よ、数本刺すだけで三十分もあれば終わるから!」そう言って針を持ち、藤宮弘也に服を脱ぐよう促した。

「有菜ちゃん、僕は……」

「怖がらなくても大丈夫、痛くないから!」

「桜井有菜、お前が痛くないって言ったのに」

「ごめんなさい、ちょっと違うところに刺しちゃった……」

夜も更けた頃、藤宮弘也の体中には銀の針が刺さっていた。最初は辛いだろうと思っていたが、先ほどまでの頭痛や目眩はすっ...

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