第63章

店長は白髪の目立つ老婆だったが、人混みの中でも一目で桜井有菜の姿を見つけ出した。

「今日はまた、珍しいお客様がお見えだと思ったら……三番目のお嬢様! 本当に、有菜お嬢様じゃありませんか!」

 慈愛に満ちた笑みを浮かべ、老婆はカウンターの後ろから歩み出ると、有菜の手を握りしめて離そうとしなかった。

「どれほどのご無沙汰でしょう。まったく、薄情なお人だ。このばあやの顔を見にも来ないのですから」

 言いながら、店長は有菜の後ろに控える面々に視線を向け、少し驚いた様子を見せた。

「ばあや、この人たちは私の友人よ。ばあやの手料理を味わってもらおうと思って連れてきたの」

「おばあちゃん、こん...

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