第86章

確かにそれは問題だった。桜井有菜は少し考え込むと、地図上の海外のある一点を丸で囲んだ。

「国内には留まらないわ。安全を期して、私たちのテリトリーへ行く。金田博士に伝えて。もしディープな協力関係を望むなら、コミッションは十億ドルよ」

 ニックは舌を巻き、信じられないといった様子で桜井有菜を見つめた。

「俺の聞き間違いじゃないよな? 十億ドルだぞ? 大当たりじゃん!」

 桜井有菜は呆れたように沈黙した。これほど高額な対価を要求するのには理由がある。第一に、金田博士にはそれだけの支払い能力があること。第二に、彼女自身が資金を必要としていること。そして最も重要なのは、今回の調整において桜井有...

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