第93章

神山務どころか、脇に控える警官たちでさえ、その男を胡散臭そうな目で見ている。

「桜井さん、奴が裏切る恐れはないのですか?」

 桜井有菜は首を横に振ると、ジョンに向けて掌を差し出した。

「ファミリーの証(あかし)、今この瞬間からもらうわ。部下たちは助ける。死なせはしない。……ただし、五体満足に戻れる保証はしないけれど」

 ジョンは拳を固く握りしめ、有菜を食い殺さんばかりに睨みつけたが、結局は首から提げていた髑髏(ドクロ)の証を取り外し、彼女の手に委ねた。

          ◇

 目的の物を手に入れた有菜は、病室を出て医師を呼び寄せた。人体図をさっと描き、脊椎のある一点に印をつける...

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