第112章:リース

グレースが俺の腰に脚を絡ませると、俺は彼女を抱きかかえて中へと運んだ。彼女がプロポーズを受けてくれたことに有頂天になっていたが、服越しに伝わってくる冷たい肌の感触に、冬の初めの山でこんなことをしようとした自分を責めた。雪景色を楽しんでもらえると思ったのだが、ほんの数分外にいただけでも彼女はすっかり冷え切ってしまっている。俺は判断を誤ったのではないかと心配になった。

俺はそのまま暖炉のそばに用意したピクニックスペースへと向かった。クッションを足で蹴って、燃え移らないギリギリの距離まで火に近づける。グレースは俺の首筋に深く顔を埋めていたため、座らせるまで何が起きているのか気づいてさえいないようだ...

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