第115章:リース

俺はグレースをじっと見つめた。バスルームでのこのひそひそ話は、サンドラを呼ぶ前に済ませておくべきだった。だが実際はそうならず、サンドラはすでに到着し、手助けする準備も整っている。

なぜグレースがこうも難色を示すのか理解できなかった。これは彼女の安全のためだというのに。サンドラは俺を裏切るような真似はしないはずだ。この世界の住人は皆、人間を含め、俺を敵に回してはいけないと知っている。戦争中だからといって、その事実に変わりはない。しばらく殺戮から遠ざかっているとはいえ、俺が世界で最も恐れられる存在であることに変わりはないのだ。

だがその時、先日の会議でのマイケルの言葉が脳裏をよぎった。『奴らは...

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