第125話グレイス

「メイジー」リースは静かに言ったが、その声には危険な響きが潜んでいた。「無理強いはしないと決めたはずだ」

メイジーは呆れたように視線を逸らしたが、私の中のどこかで、彼女が正しいことを知っている自分がいた。

「いいえ」彼女は答えた。相手がアルファ・キングであることなど、微塵も恐れていない様子だ。「あなたが言ったんでしょう、無理強いはしないって……。あたしはそんなこと同意してないわ。彼女には、背中を押してやることが必要なのよ」

「メイジー!」リースが鋭い声を上げた。「穏便に言っているうちに出て行け」

「彼女がシャワーを浴びて、そのあと訓練場で会うと約束するまでは動かないわ」メイジーは食い下...

ログインして続きを読む