第140章:リース

「入って」

俺が何も言わずにいると、グレースが声をかけた。

なぜアラナと俺の双子の弟がここに? 正直なところ、なぜその二人が一緒にいるんだ?

アラナは少し困惑した様子で入ってきた。さっきよりは顔色が良い。グレースが何をしたにせよ、ある程度は効果があったようだ。アラナは自信ありげに振る舞おうとしているが、その笑顔は張り付いたようなものだった。一方、弟のほうは、今すぐここ以外のどこかへ逃げ出したいと言わんばかりの苦渋の表情を浮かべている。

「こんにちは、グレース。アルファ・キング」

アラナが緊張した面持ちで挨拶をした。

「あら、アラナ!」グレースが微笑む。「来てくれて嬉しいわ」

あ...

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