第16章:リース

私は感嘆の思いでグレースを見つめた。まさか彼女が、私と同じように刻印の影響について考えているとは思わなかったのだ。言葉を発することも書くこともできない彼女が、質問する方法を見つけ出したことにも驚かされた。意思疎通を図ろうとする彼女のその能力には目を見張るものがあり、彼女の方からコミュニケーションを求めてくると、言葉にできない感情が胸に溢れた。ただ話してくれたらどんなにいいかと思うが、今は少しでも彼女が伝えやすくなる方法を探そう。アラナに頼んで、もっと言葉を教えれば、読み書きがスムーズになるかもしれない。もし彼女が私の「ルナ」になるのなら、そうした教養は不可欠だからだ。

私は彼女の隣に横たわっ...

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