第163話:リース

俺は伴侶(メイト)をじっと見つめた。まさか本気じゃないだろうと思ったが、その決意に満ちた表情が、彼女が至って真剣であることを物語っていた。子供をスパイにするだって? 彼はまだ十六歳だぞ。彼が家族を守ろうとしているのは理解できる。気に入らないが、理屈はわかった。彼の立場なら俺だってどうするか分からないし、正直なところ、考えたくもなかった。それにグレースは、彼が「部分的な真実」しか話していないと言っていた……。彼女はそれが重要だと思っているようだが、俺には確信が持てない。だが、彼女の意図を正確に知る必要があった。

「何だって?」

俺はようやく口を開いたが、彼女はもう俺を見ていなかった。マイケル...

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