第18章:リース

苛立ちに任せて、俺は車のドアを叩きつけるように閉めた。グレースと彼女の狼を解放するまであと一歩というところまで迫っていたのに、詰めが甘かったなんて信じられない。あの魔女が魔法を使って逃走経路を隠したのは間違いないが、そのせいで自分がひどい間抜けに思えてならなかった。どうしてあんなにやすやすと俺の手から逃げおおせたんだ? 俺は敗北などというものには無縁だった。それも、よりによってたかが魔女相手に。

「クソッ。もっと上手くやれたはずなのに」

レオンは運転席に乗り込みながらため息をつき、ソーヤーが後部座席に滑り込んだ。

「大惨事だ」俺は不満げに唸った。

「いくつか分かったこともある。だから完...

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