第183話グレイス

私は呆然と口を開けたまま、目の前の伴侶を見つめていた。これは夢だよね? 彼がここにいること自体は、それほど奇妙ではないのかもしれない。私の心が、彼を大切な存在だと認識しているからだ。けれど、この夢は何かが違っていた。すべてが妙に鮮明で、まるで新しい知覚能力を手に入れたかのようだ。色彩さえも異なって見える。より鮮やかで、色の種類そのものが増えているような、そんな感覚だった。

野花が咲き乱れる草原を歩く伴侶の姿は、ひどく場違いに見えた。海賊のようなゆったりとした白いシャツに、完璧なサイズのジーンズを合わせている。

「リース、ここで何してるの?」私は一瞬、そばにいた女性のことを忘れて尋ねた。

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