第185章:グレイス

私の言葉にリースは体を強張らせたが、驚いたことに身を引くことはなかった。それどころか、彼は私たちが向かい合う形になるよう、さらに近づいてきた。彼の手指が愛おしげに私の髪の生え際をなぞり、もう片方の手はまだ私の手首を掴んだままだ。

「グレイシー……」彼は適切な言葉を探そうとしたが、見つからないようだった。だから私はその隙に話を続けた。

「夢を見ていたの。私は野原にいて、そこで会っていたの……」

「月の女神と」リースが私の言葉を引き継いだ。

私はよろめいて後ずさり、リースの拘束から逃れた。声が出るようになるまで、しばらく口をあんぐりと開けていた。「ど、どうしてそれを知っているの?」私はどもりな...

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