第198章:グレイス

心臓が早鐘を打つ中、私はアーロを見つめた。彼はあまりにも何気なく、確信を持ってそう言い放ったのだ。そして写真……。私はその写真を凝視し、違うものであってくれと必死に念じた。何か別のもの、何でもいいから別の何かであってほしいと。

だが瞬きをしても、何も変わらなかった。それは紛れもなく月の女神だった。私たちが以前、野花の中で見た姿そのままだ。背後の森は月光のような輝きを帯びている。今日見た光景とは随分と様子が違うが、それでも同じ場所だと分かる。どこにいたって見間違えるはずがない。

「一体なんで死神が俺たちを狙うんだ?」

リースが強い口調で問い詰める。私は机から飛び降り、写真をさらに近くで覗き...

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