第225章:レオン

時間は遅々として進まなかった。さらに二度、食事のトレイが運ばれてくる頃には、俺はグレースのことが本気で心配になり始めていた。彼女の気配はどこにもない。トレイを運ぶ衛兵以外、誰も地下に降りてこない。すべてが急速に制御不能な状態に陥っているように感じられたが、まだ完全に終わったわけではない。少なくとも、まだ。

「どうする?」カレブが囁いた。

計画は今夜決行されるはずだった。グレースの話では、リースが国境に軍を配置して騒ぎを起こし、可能な限り敵の注意を引く手はずになっている。その隙に俺たちは反対方向へ走り、できれば戦闘を避けつつ、ゴールデン・パックの国境を目指すつもりだった。だが今、グレースがこ...

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