第231章:恵み

息ができなくて苦しい。それでも、足を止めるわけにはいかなかった。走る私たちの背後から、衛兵たちのドタドタという重い足音が聞こえてくる。レオンは私に合わせて走ってくれているが、その気になればもっと速く走れることは分かっていた。なぜ衛兵たちが獣化(シフト)して追ってこないのか疑問だったが、この幸運を疑って時間を無駄にするつもりはない。姿が見えなくなる程度には引き離したが、撒いたと確信できるほど安全な距離ではなかった。

乱れる呼吸を必死に整えながら、無理やり足を前へと動かし続ける。いざという時、私は獣化できるのだろうか? 私たちはどれくらい走ったのだろう? 国境は近いのか? 何もわからない。正しい...

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