第242話:グレイス

「そうね……あんまり覚えてないんだけど」長い沈黙の後、私は答えた。「ただの変な夢だと思ってた。でも、その断片が今でも蘇ってくるの。私はすごく大きな屋敷にいたわ。正直、今思うとこの城と雰囲気が似てたかも。とにかく、そこで赤毛の女の人に会ったの。かなりぶっきらぼうな人でね」

「彼女は謎めいたことばかり言ってて、私は途方に暮れてた……。それから何かを見せられたの。何だったのかよくわからないけど、記憶かな? 彼女の記憶? それとも誰か別の人の? はっきりしないけど、話が逸れちゃったわね。その記憶の中に放り込まれたら、パーティー会場で二人の少女が話してたの。そこで何か……ええと、なんて呼んでたっけ……...

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