第271話:メイジー

私とソーヤーは躊躇わなかった。ソーヤーは素早く人の姿に戻ると、ショートパンツを身につけた。私はキーカードを盗み出し、グレースが印をつけてくれた正確な入り口を見つけ出した。正直なところ、彼女が指定したその場所から本当に入れるとは思っていなかった。この近くのどこか別の入り口が見つかれば御の字だ、程度に考えていたのだ。私たちは運が良かった。

「プログラム」を出た時も入った時も、あんな梯子を登った記憶はなかったが、そんなことはどうでもいい。私たちはここにいる。驚いたことに、アトリウムには警備兵が配置されていなかった。もし警備がいたら、梯子を降りることさえできなかっただろう。私は胃のあたりに感じる奇妙...

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