第277話:恵み

ポータルを抜けて地面に足が着いた瞬間、私は途方に暮れた。辺り一面に死体が散乱している。味方は数的に五対一の劣勢だ。日は沈みかけており、まもなくこちらが有利になるはずだが、あまりの混乱に、誰が本当の敵なのか誰もわかっていないのではないかと思えた。もしメイジーやベントレー、あるいは私が獣に変化(シフト)したら、私たちも攻撃されるのではないかという不安がよぎる。

私はその不安を振り払った。クレアを抱き上げ、歩き出す。やるべきことはわかっている。だが、それにはエイドリアンを見つけなければならない。彼は彼らのリーダーだ……。しかし、もしキンズリーの言葉が真実なら、私こそが真の後継者なのだ。私が彼の軍隊...

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