エピローグ:グレース

「グレース、初めてお前を見たあの日から、俺たちの道が交わっていると分かっていた。どうしてなのか、なぜなのかは分からなかったが、ただ、あの忌々しい場所から何としてもお前を連れ出さなきゃならないと、それだけは分かっていたんだ。お前は言葉を発さず、その内なる狼は封じられていた。自分がなぜこれほどお前に惹かれるのか理解できなかった。だが、運命がゆっくりと紐解かれるにつれ、俺たちが共に歩む定めにあることは明白になっていった。お前がそんなことを疑いもしないうちから、俺はお前が運命の相手だと知っていたんだ。そして、その予感を抱いた瞬間、俺はもう逃げられなくなっていた。お前には何も望んでほしくなかった。何が起...

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