第46章:恵み

彼に頼む勇気がどこから湧いてきたのか自分でも分からないけれど、私はそれをやってのけた。私はアルファ・キング、リースの顔を見つめた。彼が私の書いたものを読むにつれ、その表情が驚きへと変わり、さらにそこには、隠しきれない欲望の色がはっきりと滲み出ていた。

「グレース……」彼は少し言葉を詰まらせた。あの冷静沈着なアルファが動揺している。私は自分の読みが間違っていたのではないかと不安になり始めた。「俺だって、君にマーキングしたい。本当に、すごくしたいんだ。それだけは分かってほしい。でも――」

「でも」が来ることは分かっていた。私が知りたいのはその理由だ。もし私が本当に彼の「番(つがい)」なら、彼は...

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