第54章:リース

グレースの姿を目にした瞬間、胃が縮み上がるような思いがした。すべては彼女を守るためにしていることなのに、果たして彼女に私の真意が伝わるだろうか? 本当のことを説明するチャンスをくれるだろうか? アリソンが何を企んでいるのか、どうしても突き止める必要があったのだ。彼女が現れたタイミングは、単なる偶然にしてはあまりにも出来すぎていた。

「あたしを捨てて選んだのが、これ?」

アリソンはグレースを頭のてっぺんから爪先まで何度もねめ回し、怒りを噛み殺すように言い放った。

「君とはもう何年も前に終わっている」私は苦々しく言い返した。

「ただのネズミじゃない!」アリソンは喚いた。「吸血鬼みたいに真っ...

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