第74章:恵み

一日中リースを避けて過ごし、ようやく地に足がついたと思い始めた矢先、またしてもすべてがひっくり返るような事態に陥ってしまった! 一体何が起きているの? 私の手の傷が、目の前でみるみるうちに塞がっていくのだ! そしてリースの手もまた、同じように治癒していた!

「嘘でしょ……一体なんなの?!」私は思わず呟いた。

「言っただろう、グレイシー」リースも声を潜めて言った。「君は素晴らしい存在なんだ」

「意味がわからないわ」私はショックを受け、リースを見つめた。「こんな治り方、今まで一度だってしたことがない。生まれてからずっと怪我ばかりの人生だったし、死ぬ寸前まで殴られたことだって一度や二度じゃない...

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