第85章:リース

「一体全体、俺の妹に何があったんだ!」

イーサンは怒りを露わにして怒鳴り、ベッドへ向かって一直線に歩み寄ってきた。

ソーヤーが立ち上がり、彼と俺の間に割って入る。イーサンが本気で俺に殴りかかってくるほど馬鹿だとは思わなかったが、弟が俺を庇おうとしてくれたことには胸を打たれた。

「俺の元カノの仕業だ」俺は疲れ切った声で答えた。「どうやったのかは知らんが、ウルフ・ポイズンを盛ったらしい。おそらく地下牢を出た時だろう。知っての通り、あそこで奴に出くわしたからな。グレースに触れた覚えはないが、あの時やったに違いない」

「で、その元カノは今どこにいる?」イーサンは怒りに震えながら言った。「どこか...

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