第6章
書斎の扉は開いていた。彼はもう机に向かっていた。
両手を机の天板に平らにつけている。取引が彼の望まない方向へ転んだとき――数字が合わず、それでもどうにかして締める算段をするときの姿勢だ。役員会で何度も見てきたから、嫌でもわかる。
私が入っても、彼は何も言わなかった。私が座るのを待った。
「蓮から聞いた」彼は私を見ない。視線は机の上の一点に落ちたまま。
「お前が、彼と一緒に退くのを拒んだと。わざわざ必要のない危険に身を置いてまで――」
「私が殺されないために使われなくなった電気塔をよじ登ってた間、蓮がどこにいたかは言ってた?」
沈黙。
彼が私を見る。
「問題はそこじゃ...
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