第105章

彼女は決して損な取引をしない。

人の心を掴むこともまた、未来への投資なのだ。

杉本麗良は完全に呆然としていた。南からの援助がここまで至れり尽くせりだとは、思いもよらなかったからだ。

これはもはや単なる善意などではない。人生を根本から救い上げてくれた、再造の恩である。

杉本安の体は激しい感情の昂ぶりによって小刻みに震えていた。まるで天から舞い降り、彼を覆っていたすべての暗雲を振り払ってくれたかのような目の前の女性を見つめ、その目頭は瞬時に熱くなった。

彼は微塵の躊躇いもなく背筋をピンと伸ばし、南に向かって深々と頭を下げた。かつてないほど力強く、そして通る声が響き渡る。

「南さん! ...

ログインして続きを読む