第117章

そう言い放つと、彼女はまるで汚物でも触れたかのように、顔色一つ変えずに一歩後ずさりした。そして、無駄のない動きで身を翻し、そのままドアを押し開けて立ち去っていく。

ブラックカードを挟んだ立花弘の指先は、宙に浮いたまま硬直していた。顔に浮かんでいた得意げな傲慢さは瞬時に凍りつき、やがて途てつもない屈辱と怒りに取って代わられる。

頭がおかしいだと? この俺に向かって、よくもそんな口が叩けたものだ。

「南!」

閉まりかけるドアに向かって、彼は気急ぎと怒りにまかせて低く唸った。

「身の程を知れ! 絶対に後悔させてやるからな!」

バタン——。

重厚なドアが目の前で乱暴に閉ざされ、彼の怒声...

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