第14章

周防奏夢は庭園で居ても立ってもいられず、心臓が宙吊りにされたようにそわそわしていた。

彼女は絵を持ってただ闇雲に古川家を訪問する勇気はなかった。それはあまりにも唐突で、下心が透けて見えるからだ。

一番良い方法は、まず古川和津を通すことだ。

彼女は深呼吸をし、見るばかりで自ら連絡することなど滅多にないそのアイコンをタップした。画面上の文字を指先で何度も推敲し、十数回も書いては消しを繰り返して、ようやく自分なりに丁寧で気配りの行き届いたと思われるメッセージを書き上げ、送信した。

『古川様、突然のご連絡申し訳ありません。ある油絵を見つけまして、古川の大旦那様がこういったものをお好きだと存じ...

ログインして続きを読む