第152章

一拍置くと、彼は二階の固く閉ざされた扉へ陰鬱な視線を投げ、鼻で笑った。

「杏那のことだがな……この国じゃ、もう居場所がない。宝飾デザインの界隈には完全に締め出された。ここに残ったところで、笑いものになるだけだ」

鈴木玉奈はそれを聞いた瞬間、涙がいっそう溢れた。

「……あの子を追い出すの?」

「追い出すんじゃない。海外に出して「箔」を付けるんだ」

新谷邦彦は歯がゆさを滲ませ、玉奈を睨みつける。

「まずはヨーロッパに放り込んで数年、風当たりを避ける。三年か五年、国内の騒ぎが薄れた頃に「再デビュー」させりゃいい。帰国令嬢だの、異業種を渡り歩いたセレブだの、看板なんていくらでも作れる。新...

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