第16章

「こちらは気鋭のデザイナー『S』が手掛けた『深海の心』になります。開始価格は一千万から」

南雲律也は横を向き、声を潜めて南の耳元でからかった。

「俺の記憶が正しければ、そのセンターストーンは、お前がこの前ジュエリーセットを作った時の余り物で作ったやつだよな?」

南の口元にほんの微かな笑みが浮かんだが、肯定も否定もしなかった。

確かにそのネックレスは彼女が暇つぶしに作ったものだったが、まさかFLがオークションにかけるとは思ってもみなかった。

「このネックレス、すごく綺麗!」最前列に座る鈴木季未は目を輝かせた。彼女はこういう個性的でデザイン性の高いものが大好きなのだ。

入札が始まると...

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