第169章

南は黙って耳を傾けていた。視線は刻一刻と冷えていく。

自分勝手と強欲を、ここまで「仕方ない」に言い換えられる無恥な人間――南は何人も見てきた。

「じゃあ、あの高級オーダー用の生地二百反は?」

南は淡々と次の問いを投げる。逃げ道を用意するように、あえて軽く導く。

「それも待遇が悪いから、あなたが「処理」したってこと?」

「倉庫に置いといたって埃かぶるだけでしょ!」

そこに触れられた途端、須藤香里の舌はさらに滑らかになった。まるで自分の理屈に完全に酔っている。

「南城の工房の親方たちの買い値は安いけど、現金払いなのよ。私は職権でタイミングずらして、帳尻を合わせただけ。会社は金持ちな...

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