第172章

木下と作業員たちは、目の前にいる若いのに圧の強い副社長を見上げた。宙ぶらりんだった不安が、奇跡みたいにすとんと腹の底へ落ちていく。

「南社長、ご安心ください! そのお言葉があれば、今夜寝ずにでも、俺たちは工場に張りついて待機します!」

木下は胸をどん、と叩いて請け負った。濁った瞳に、もう一度だけ希望の火が灯る。

「そうだ、南社長! 俺たちは信じてます!」

作業員たちも口々に続いた。

南は小さくうなずいただけで、余計なことは言わなかった。

彼女は昔から、耳ざわりのいい約束をばらまくのが嫌いだ。

約束の真価は、明日になれば嫌でも分かる。

太田瀬里奈を連れて工場を出ると、南はそのま...

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