第176章

彼女はぐすっと鼻をすすり、声には濃い劣等感と縋りつくような響きがにじんだ。

「律兄さん……私って、役立たずだと思う?」

引いては押す、健気で気遣いに満ちたその言い方が、周防律の胸の奥にある柔らかな弦を、そっと揺らした。

律は絆創膏を貼り終えると、ふっと目を上げる。周防奏夢の赤くなった目元を見た瞬間、胸の内に小さな痛みのような憐れみが湧いた。

「何を言ってるんだ」

周防律は手を伸ばし、彼女の頭頂をくしゃりと撫でる。声は自然と低く、そして優しくなった。

「お前は周防家の娘だ。誰とも比べなくていい。自分のままでいろ。周防家は……お前くらい養える」

周防奏夢は涙を引っ込め、ぱっと笑って...

ログインして続きを読む