第182章

周防律はエレベーターのボタンに伸ばした指を、ふっと止めた。

休暇……?

振り返ると、深い眼の奥にかすかな意外がよぎり、すぐさま口元がほんのわずかに吊り上がる。

あの小娘。あれだけデカい不始末をやらかしておいて、きっちり収めたどころか、部下には「ご褒美」とばかりに休みまで与え、自分は誰よりも早く姿を消した。

切り替えの速さ、迷いのなさ。泥を引かない手際の良さに、どこか昔の自分の影が重なる。

「了解」

周防律は手を引っ込め、それ以上は追わなかった。どうせ、来日方長だ。彼女がデザイナーコンテストの案件を引き受けた以上、いずれ顔を合わせることになる。

周防律は踵を返し、大股で玄関を出て...

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