第186章

夜十時を回るまで働き詰めで、オフィスフロアはもうほとんど人影がなかった。南は眉間のかすかな痛みを指先で揉み、最後の一冊を閉じる。

立ち上がって水を一杯注ぎ、そのままデザイン部へ向かった。

杉本麗良は、やはり席にいた。モニターに映る線画を睨みつけ、うんうん唸りながら考え込んでいる。

「ここ。線が硬い」

南は椅子を引き寄せて隣に腰を下ろし、画面を指先で軽くトンと叩いた。

「ミニマルって、ただ削るだけじゃない。余白の中に張りを残すの。幾何学要素も、人体のラインに沿わせて。パーツを無理に貼り合わせたら、途端に嘘になる」

杉本麗良はぱっと顔を上げ、目を丸くする。

「なるほど……!」

慌...

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