第189章

南は一瞬きょとんとしながらも、差し出されたギフトボックスを受け取り、蓋を開けた。

黒いベルベットの台座の上に、淡いピンクダイヤのティアラが静かに横たわっている。メインストーンのカットは完璧で、朝の光を受けて目が眩むほどの煌めきを返した。

南はそれが何か、ひと目でわかった。FLがつい先日展示したばかりの、現存数が極端に少ないオートクチュールの一点物。値段など、もはや付けようがない。

指先でひやりとしたダイヤにそっと触れると、氷のような瞳の奥に、かすかな温度が滲んだ。

律兄さん――まだ正式に顔を合わせたことすらないのに、この贈り物は否応なく伝えてくる。周防家らしいやり方で、周防家らしい気...

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