第190章

杉本甘莉はびくりと全身を震わせ、目玉がこぼれ落ちそうなほど見開いた。

自分でも相当慎重にやった。知っているのは須藤香里だけのはずだ。顔すらよく見えないアシスタントが、なぜ一から十まで把握している――?

「……あんた、いったい誰よ!」

杉本甘莉は真っ青になり、声まで震えた。

「消えろ」

南が薄い唇をわずかに動かす。

杉本甘莉は二歩、三歩と後ずさりした。これ以上一秒たりとも居座れるはずもなく、ヒールを鳴らして逃げるように立ち去る。騒ぎは小さくなかったらしく、周囲のデザイナーたちが次々と視線を向け、黒尽くめで妙に威圧感のあるこの「助手」が何者なのか、ひそひそと探り合っていた。

杉本甘...

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