第193章

「この写真の男が誰だか、分かる?」

南の冷えた瞳には、ほんのわずかな憐れみが滲んでいた。

林田篠佳は一瞬、言葉を失う。そんな男、知るわけがない。

周防奏夢から送られてきたとき、彼女はこう言っただけだ。――南が外で男を引っかけた証拠写真。試合会場でうまくぶちまけて、南の名を地に落とせ。

「知るもんですかよ! あんたを囲ってるジジイが誰だろうと!」

林田篠佳は意地で声を張り上げ、動揺を怒鳴り声で覆い隠す。「とにかく、あんたは恥知らずの――」

南は最後まで聞く気もなかった。

操られている自覚すらない馬鹿に、言葉を費やすほど暇じゃない。

彼女はポケットから自分のスマホを取り出すと、す...

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