第22章

ベントレーは滑らかに夜の闇へと滑り込み、車内は静寂に包まれていた。

松本浩介が前席で運転に集中する一方、後部座席に身を預ける古川和津はスマートフォンで山積みの業務を処理しており、その全身からは相変わらず重苦しい空気が放たれていた。

南は窓の外へ顔を向け、街のネオンサインが車窓に切り取られて流れる光の帯と化すのをただ見つめている。

「すぐ先の交差点で停めてください」彼女が唐突に口を開き、車内の沈黙を破った。

松本浩介はバックミラー越しにちらりと視線をやった。そこはまだ開発途中の別荘地で、街灯は薄暗く、周囲は漆黒に沈んでいる。ポツンと建ついくつかの建築物の骨組み以外、まったく人けがない。...

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