第47章

「南」

空気が一瞬にして凍りついた。

鈴木玉奈の顔から一瞬表情が消え去り、直後、とてつもない冗談でも聞いたかのように大げさに笑い出した。その笑い声は甲高く、耳障りだった。

「あり得ないわ! 絶対にあり得ない!」彼女は新谷邦彦を指差し、涙が出るほど笑い転げた。「あなた、焦りすぎて頭がおかしくなったんじゃないの? あの子が? 田舎育ちの野蛮な小娘よ? あんな真似ができるわけないじゃない。自分で自分を怖がらせてどうするのよ!」

自分が泥くずのように見下し、十数年もの間好き勝手に殴り罵ってきた養女が、金融界で暗躍し、自分たちを絶望の淵に追いやった黒幕だなどと、彼女には到底信じられなかった。

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