第49章

古川和津は前を見据えたまま、長い指でハンドルを軽く叩き、沈黙を破った。

「彼女とは親しくありません」

それは、彼なりの弁明だった。

南は背もたれに寄りかかり、まぶた一つ動かさず、冷ややかな声で答えた。「どうでもいいことです」

実際、彼女は少しも気にしていなかった。

周防奏夢の小細工など、彼女からすれば道化の滑稽な芝居に等しく、心の波風を立たせることすらできない。

古川和津はハンドルを握る指を微かに強めた。

この、のれんに腕押しのような無関心さは、彼の心を妙に重くさせた。

彼は横目で南を一瞥した。眼鏡の奥の黒い瞳は深みを帯びて読めない。「婚約者として、君のことは私のことでもあり...

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