第55章

かつて古川峰弘は彼女と古川和津をくっつけようとしていたが、南が戻ってきてからはすっかり変わってしまった。

翌朝早く、黒のベントレーが時間通りに別荘の前に停まった。

南が靴を履き替えて出かけようとしたその時、周防奏夢が綺麗に包装されたフルーツバスケットを提げて飛び出してきた。その顔には、引きつりながらも必死に作った愛想のいい笑顔が張り付いている。

「南、病院に古川のお爺様のお見舞いに行くんでしょう? ちょうど昨日の夜に手土産を用意しておいたの。一緒に行きましょう。私も直接お爺様に謝りたいし」

彼女は昨晩の醜態をすっかり忘れてしまったのか、あるいは、それ以上に強い欲望が彼女にすべてを無視...

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