第59章

執事の長島は自ら南を玄関まで見送り、その態度は以前にも増して恭しくなっていた。

彼は分かっていた。この南という令嬢が、古川家で最も気難しい大奥様を完全に手なずけたということを。

朝幸グループ。

南が会社のエントランスに足を踏み入れた途端、それまで少し騒がしかったロビーは水を打ったように静まり返った。

全員の視線が彼女に集中し、そこには探るような色、同情、そしてかすかな嘲笑が入り混じっていた。

受付の太田瀬里奈が目を赤くして駆け寄ってきた。「南さん、やっと戻られましたね」

南の視線は、荒れ果てたオフィスを冷ややかに這う。彼女が丹念に選んだ観葉植物は床に押し倒され、土が散乱している。...

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