第61章

南は、お爺様の期待を隠そうともしない眼差しを見つめながら、困惑しつつも遠回しに断りを入れた。

「ありがとうございます、お爺様。でも大丈夫です。もう少ししたら帰りますから」

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、彼女のスマートフォンが鳴った。

宮瀬秋奈からだ。

南が電話に出ると、まだ口を開く前に、宮瀬秋奈の焦ったような声が聞こえてきた。

「南、今夜は帰ってきちゃ駄目よ! お父さんとお兄ちゃんと一緒に、急用で叔父さんの家に来ているの。今夜は戻れないから、あなた一人で家にいるのは心配だわ。古川さんの家で一晩泊めてもらいなさい、ね?」

その言い訳は穴だらけで、まるで事前に暗記した台詞の...

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