第63章

南の足取りは止まらなかった。彼女は脇目も振らずに受付へと歩み寄り、その冷ややかな視線を太田瀬里奈へと落とす。

太田瀬里奈は彼女に見つめられてビクッと身を震わせると、慌てて小走りで歩み寄り、極力声を潜め、泣き出しそうな委屈な声で言った。

「南さん、私では止められなくて、あの人たちが……」

「なぜ彼がここにいるの」南の口調はひどく平坦で、喜怒の感情は読み取れなかったが、嘘を許さない特有の威圧感を放っていた。

「それは……本社からの通達で」太田瀬里奈はさらに目元を赤くした。「今朝早く、本社の須藤という部長が赤木さんを連れてきて……彼を元の役職に復帰させると。昨日の解雇手続きは規定違反だから...

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