第80章

太田は彼女の突然の取り乱した様子に驚き、呆然と耳をほじった。

「何ですか、香里さん? 俺には何も聞こえませんでしたよ。空耳じゃないですか!」

「あり得ないわ!」須藤香里は狂ったように、南が身を潜めている方向を指差した。「音は確かにあの隅から聞こえたのよ! 早く見てきて。あの段ボールを全部どかしてちょうだい!」

太田も彼女のあまりの剣幕に薄気味悪くなり、仕方なく再び嫌々ながら歩み寄った。

ラベルのない段ボール箱の山に近づくと、彼は苛立たしげに二度蹴り飛ばした。ドン、ドンと鈍い音が響く。

「香里さん、本当に誰もいませんよ! ただのガラクタですって! もう行かないと、夜が明けちまいますよ...

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